米国の研究/オタク仲間から、ほんのちょこっと「ファンサブ」に関する相談を受けた。ファンサブとは、外国の映像作品に手製の字幕をつけたもの、または、その活動のこと。fansub は "fan subtitled" (=ファンによる字幕版)から。ファンサブのほとんどは、日本製アニメに英語等の字幕を付けたものである。(wikipedia)
ファンサブは何人かのグループで実践するのが基本だが、4月からの新作アニメのうち、何を扱おうかという相談である。好きなアニメを選んでファンサブすればいいじゃん、と思いがちだが、そうもいかない。メジャーどころは既に大手(といってもボランティア)ファンサブグループが取り扱っているからあきらめた方がいいし、シリーズが長いのも敬遠したい。
例えば「コードギアス」。これはもう大手ファンサブグループがやっているとのこと。一方で例えば、日本では割と人気だが米国ではファンサブされていないマイメロ(おねがいマイメロディ)。これは1シリーズが52話まであって無理とのこと。様々な条件が折り重なり、何にファンサブするかが決まっていく。
このファンサブ、相当組織だってなされる。昨年カリフォルニアに行った際、ナルト・ファンサブグループの一人(大学院生)に、ファンサブのやり方を聞くことができたのだが、IRCを使いかなり密なコミュニケーションがとられていた。
ファンサブメンバーは、サクラならサクラ、サスケならサスケと各々担当キャラクターを持ち(話を聞いた人は暗部担当だった)、そのキャラクターのセリフを「米国オタクにとって自然な英語」に「翻訳」していく。ちなみに術や独特の言い回しはそのまんま。写輪眼はsharinganでオッケー。このあたりのルールも難しい。
日本でアニメを録画する人、ラフな英訳をつける人、ラフな英訳を洗練された英訳に修正する人、...ほんの一端だが、体系化され、組織だったオタクコミュニティを見ることができた。英訳は修正の度ごとに何度もFTPされ、メンバーがそれを見て微妙に修正していく。
ナルトほどの人気アニメとなると、いくつかのファンサブグループが活動をしている。その中でも、階層というか、コミュニティの差異がある。
例えば、サブタイトルがつけられたアニメを、スピード勝負でサブタイトルつけてyoutubeなんかにポーンとあげちゃうようなぐループは、オタクからはあまり好まれない。可能な限り時間をかけ、きちんとしたオタク仕様の英訳をつけて、しかるべきサイトにアップするグループの方が好感がもたれているようだ。こうしてコミュニティどうしの社会的位置やコミュニティの特徴が眼に見えるようになる。
さて、今日相談されたファンサブの対象は何になるか。腐女子にも人気であろう執事コメディ「ハヤテのごとく!」も候補になっていたし、学園モノ「ひとひら」もあがっていた。
オタク研究で有名なHenry Jenkinsは、過去の「一方的に受容するオーディエンス」というオタクの存在は、youtubeやら画像処理ソフトその他やらを伴いながら、「意味を生成するオーディエンス」という存在に変容したと説いた。ファンサブはAMV同様、意味や価値を生成するオーディエンスの実践であり、その意味で興味深い。今後、米国オタク理解の一端として、ファンサブ実践の理解を進めていきたい。

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