鳩の街


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東京都内に「トリップ」可能な場所は多々あるけれど、10分位の短い「トリップ」は心地よい。


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東武線曳舟駅から飲み屋ひしめく路地を抜けて、国道6号線を渡ったところにある細い路地の「鳩の街」に行った。秋以降のフィールドワーク先の下見が目的。



鳩の街は、都内でも希有な「下町」が残るエリアで、「色町」の残り香を経験することができる。300mくらいの商店街と、そこから左右に広がる細い路地が魅力である。特に、同行した学生(20歳)にとっては異空間にも思えたようで、激しく無口になっていたのが印象的だった。


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色町の名残は、建築物に確認することができる。例えば柱や外壁のタイルデザイン。これは大正後期から戦後期までの色町建築に特徴的なものである。また建物の入口のデザインや窓手すりにも残り香をみつけることができる。「意外な日常」がそこかしこに存在する。


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例えばこのようなタイルデザインが施された建物は、もともと娼婦らが住み込みで働いていた、というか娼婦のアパートだった。色町として最も栄えた時期は、永井荷風はじめ山の手から猛者が押し寄せたようである。



鳩の街は昭和の色が非常に濃くて、私の幼少期の記憶と重なるものも少なくない。それに色町建築も重なることで、単なる街歩きではなく、東京における10分間の「トリップ」体験となる。


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このエリアは、アーティストにとっても魅力ある街のようで、気鋭のアーティストが集まり住んでいるとのことである。軒下に水琴窟が設置さられた店舗もいくつかあり、これも若い人が仕掛けてまわっているようである。



鳩の街には、娼婦が「営業」に出かけた「カフェー」が残っている。そこは、特定の男の妾になっていない娼婦、時間があいた娼婦などが集まり、男客との交渉の場として機能していたようである。


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その「カフェー」だったのかどうかは分からないが、鳩の街の中で「普通のカフェ」を4-5軒目にした。



ひとしきり歩いて街を見て周って、一度腰を落ち着けて休憩しようということになった。鳩の街の「カフェー」に入ってみたかったが、学生さんの「どう振舞うべきかが自明な空間」に行きたいという表情を目にする。なので駅前のファミレスに入店。


ゼミ生らに「東京で好きなところ」を尋ねると、お台場や渋谷の名があがる...んだからロイヤルホストに入店したくなる気持ちがよく分かる。


彼らの視点によれば、鳩の街は中高年層の勢いが無限に強く感じたようで、彼ら(20歳)が「目立って」しまっている、そんな感覚を得たようである。


また、「茶髪が少ない街」という印象を受けたようだ。ヤンキーもいない。ヤンキーや茶髪と街ですれ違わないこと、これが実に不思議な感覚だったとのこと。街を眺める上で面白い観点だと思う。



補足:


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鳩の街と並んで、玉の井もまた色町として栄えたエリアである。ただしこちらは色町建築が数多く現存しているわけではない。その一方で、路地マニア垂涎の入り組んだ路地が惜しげもなく張り巡らされており、曲がり角のたんびにネコがこっちを向いて座しているのが印象的だった。